連載 症状から見た耳鼻咽喉科・頭頸部外科シリーズ
⑦嗅覚障害
古田 茂
1
1鹿児島大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.85-89
発行日 1997年1月20日
Published Date 1997/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901529
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I.問診による診断
嗅覚機能に影響を与える因子は,性別,喫煙,化学物質への曝露,加齢,薬物の服用状況やアルコールの経験,合併症の有無などである。問診ではこれらの点について質問をするべきである。一般的に女性は男性よりも嗅覚閾値,弁別,識別能において良好な結果となる。また,官能度においても差がみられている。喫煙歴は明らかに嗅覚機能を低下させることが知られている。揮発性有機物質を扱う職業の従事者は嗅覚機能の低下が疑われる。最近,テガフール服用後に嗅覚機能が低下することが報告されている。
また,患者の訴える嗅覚障害状態を的確に捉える必要がある。それは量的または質的変化である。前者はその程度により正常,嗅覚減退,嗅覚脱失および嗅覚過敏症に分類される。後者はニオイ感覚におけるすべての質的異常嗅感覚を総括し,異常嗅感症または異臭症と呼ばれるものである。これには嗅覚錯誤症,悪臭症,幻臭など色々な病態がある。
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