目でみる耳鼻咽喉科
副咽頭間隙に再発し急激な経過をたどった頸部線維肉腫症例
平林 秀樹
1
,
藤沢 勉
1
,
生野 登
1
,
平林 かおる
2
1濁協医科大学耳鼻咽喉科気管食道科
2濁協医科大学第2病理学
pp.154-155
発行日 1998年3月20日
Published Date 1998/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901732
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頭頸部領域に発生する肉腫は,同領域悪性腫瘍の1%以下の稀な疾患で,頭頸部領域における発生率は2〜21%とまちまちである。初回手術(1986年10月)から9年後の1996年3月,右副咽頭間隙に再発し,経口的生検後に同部位より肉腫が急激に増大した症例を経験した。初回手術時腫瘍は右中下咽頭・喉頭腔に突出していたが,表面平滑であった。術中所見では,腫瘍は頸動脈分岐部内側にあり(図1),周囲との明らかな癒着はなく,舌骨・甲状軟骨の一部を含め摘出した(50×42×35mm)。リンパ節転移は認めなかった。腫瘍割面は灰白色・均質充実性で,壊死像は認めなかった(図2)。病理所見は紡錘形腫瘍細胞が束状に交錯しながら増殖し,いわゆるherringbone patternを示した。強拡大で核の異形性は認めるが,mitosisは認められず,高分化型の線維肉腫と診断した(図3a)。鑑別診断にleiomyosarcomaが必要であるが,各種染色にて筋原性を示す所見はなかった。
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