特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域 腫脹の診断
7.頬部の腫脹
長舩 宏隆
1
1東邦大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.33-40
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901015
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はじめに
耳鼻咽喉科領域において頬部は外見上最も目につきやすい部位であるため,その部位の腫脹には比較的早く気がつくものと思う。しかし腫脹をきたすまでの期間は疾患によってそれぞれ異なり,感染などによる炎症性疾患では短期間で腫脹をきたすが,悪性腫瘍などでは副鼻腔に充満した後に骨壁を破り,軟骨組織に浸潤してはじめて頬部が腫れてくるものなど長期間を要するものも多く,それが生死を左右することもあり注意を要する。
頬部には解剖学的に歯芽,骨,軟部組織,腺などの臓器があり,発生する疾患も様々で診断が困難なことも多いと思われる。したがって頬部腫脹を呈する患者を診察する際には,患者の年齢,現病歴,既往歴,家族歴の聴取,局所所見,全身所見の観察,さらにX線学的検査などを施行し,的確かつスムーズに診断,治療を行うことが大切である。
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