Japanese
English
原著
上顎洞に原発した髄外性形質細胞腫の1症例
Extramedullary Plasmacytoma in the Maxillary Sinus:Report of a Case
清水 賢
1
,
中村 雅一
2
,
菅澤 正
2
Ken Shimizu
1
1公立昭和病院耳鼻咽喉科
2東京大学医学部耳鼻咽喉科学教室
1Department of Otorhinolaryngology, Showa General Hosp
pp.41-44
発行日 1994年1月20日
Published Date 1994/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900861
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はじめに
上顎洞粘膜に原発した髄外性形質細胞腫(extramedullary plasmacytoma)の1例を経験したので報告する。副鼻腔原発の本疾患についての報告は少ない。一般に,髄外性形質細胞腫の治療は放射線と手術の併用療法が主流で1),局所の腫瘍が制御できれば,その予後は比較的良好といわれている。しかし,形質細胞腫は血液疾患の1つで,細胞レベルでは比較的初期より全身にびまん性に存在している可能性がある。全身に転移を起こし,いわゆる多発性骨髄腫に移行すると予後は約2年と極めて悪くなり,治療としては化学療法が必要となってくる。本例に対して,形質細胞腫の局所の制御とともに,全身化を予防するために放射線療法・手術療法に化学療法を組み合わせた治療を行い,良好な結果が得られたので,現在までの約2年にわたる治療経過を報告する。
A 51 year old man with extramedullary plas-macytoma in the left maxillary sinus was reported. The patient was treated with chemotherapy consist-ed of pirarubicin, cyclophosphamide, vincristine sulfate, prednisolone, and cisplatin, and he had no local recurrence or multiple myeloma after the follow-up period of 18 months.
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