鏡下咡語
上顎洞洗浄のすすめ
調 賢哉
1,2
1調クリニック
2元鹿児島大学(耳鼻咽喉科気管食道科)
pp.230-232
発行日 1993年3月20日
Published Date 1993/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900695
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気道および食物異物,これはかつて硬性直達鏡を駆使する私共耳鼻科専門医の特技であり,また難しい異物を摘出した後のVictoryの快感,充実感,満足感は私共の専有物であると信じていた。しかし,これは既に異物摘出用ファイバーの改良普及によって消化器を専門とする内科医・外科医によってかなり行われ,耳鼻科医の専用物ではなくなっている。しかし上顎洞洗浄は耳管通気とともに私共の最も専門的な技術である。しかし残念ながら現在,副鼻腔炎の保存的治療としては,ネブライザーが主流となり,最も効果のある上顎洞洗浄は,小児においてはもちろん,成人においても敬遠されている。その理由は,第一に,効果があることはわかっているが,洗浄時の疼痛と出血のために患者が2度と来なくなるのではないかという危惧,第二に,洗浄に要する手間と時間の割に保険点数が低いということにある様である。
この第一の点に関しては,1992年5月,名古屋における第93回耳鼻科学会総会学術講演会で私は「3歳児,4歳児における上顎洞洗浄とその意義」について講演した際,会場から「私の所では私が上顎洞洗浄を行おうとすると,看護婦がそんな痛いことは止めて下さい。後で患者が来なくなるから。と言うが,痛くないようにするコツは?」との質問があり,また,ある耳鼻科専門医いわく「私は学生の頃に上顎洞洗浄をして貰ったがその時の痛さが忘れられないので絶対に上顎洞洗浄はやりません」と。
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