特集 外来診療マニュアル—私はこうしている
I.症状の診かた・とらえ方—鑑別のポイントと対処法
20.いびき・睡眠時無呼吸
今野 昭義
1
,
広瀬 勝治
1
,
仲野 広一
1
1千葉大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.75-79
発行日 1991年11月5日
Published Date 1991/11/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900383
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
いびきは睡眠中の上気道に狭窄があることを示す異常呼吸音である.いびきを主訴として来院する患者はいびきの騒音そのものが治療対象となる場合と,上気道障害による換気障害が治療対象となる場合がある.睡眠中の上気道狭窄は筋弛緩による軟口蓋沈下,舌沈下などの一次的狭窄と,この気道狭窄が反射的に換気運動の亢進をおこし,一次的狭窄部より下方で吸気時の陰圧が著明に増大することによって中咽頭周囲の軟部組織が流れの方向に牽引されて生ずる二次的狭窄に分けられる(図1).上気道狭窄が比較的軽度な症例では二次的狭窄はみられない.
いびきは持続性のいびきと周期的に無呼吸を伴う周期性いびきに分けられる.持続性いびきでは気道狭窄はあっても狭窄に打ち勝つ換気努力が持続し,血液ガス組織の変化はみられない.気道狭窄の程度は筒期性いびきと比較すると軽度である.また図1の低換気の時期にみられる吸気性の狭窄音と過換気の時期に軟口蓋を中心とする中咽頭組織粘膜の振動によって生ずる呼気性,吸気性の振動音に分けられる.いびきの種類と強さから上気道狭窄のおおよその程度を推察できる.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.