特集 外来診療マニュアル—私はこうしている
I.症状の診かた・とらえ方—鑑別のポイントと対処法
19.唾液腺腫脹・疼痛
山下 敏夫
1
1関西医科大学耳鼻科学教室
pp.72-74
発行日 1991年11月5日
Published Date 1991/11/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900382
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唾液腺の腫脹および疼痛をきたす疾患は,唾液腺本来の疾患に加えて,他の組織由来のものもあり,多種多彩で,その診断は必ずしも容易でない.診断のためにまず問診でその発症が急性か慢性か,さらには反復性かを知る.ついで片側か両側か,全身症状,疼痛の有無と性質,食事との関係など聴取する.視診では唾液腺部の皮膚の色調,唾液排泄管開口部の発赤や排膿,顔面神経麻痺の有無,上咽頭を含めた咽頭,口腔,歯の異常(腫瘍,乾燥)の有無,涙腺の腫脹や結膜の乾燥などをみる.また最も大切なものは触診で,唾液腺全体の腫脹か,唾液腺部の部分的腫脹(腫瘤)かを丁寧に診察する.さらに顎下腺部のものでは双指診による口腔底の触診が大切である.検査としては血液検査(白血球数,好酸球数,赤沈,CRP,アミラーゼ値,ウイルス抗体価,IgE値など),ツ反,シアログラフィー,RI(99mTC,67Ga)検査,超音波検査,穿針細胞診などがある.間・視・触診から疑われる疾患を想定し,必要に応じてこれらを組合せて診断の補助とする.
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