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緒言
咽喉頭異常感を訴える耳鼻咽喉科受診患者は近年増加傾向にあるが,一方で患者の訴えを受け止める耳鼻咽喉科医の対応は十分に系統化されているとは言えない。われわれ医師の側から見て,咽喉頭異常感は必ずしも器質的疾患がその基礎にあるとは限らず,対応そのものが難しいことは確かである。われわれはまず器質的疾患の検索をすべきであり,器質的疾患の存在が完全に否定された場合は更に内分泌系の問題や精神神経的な問題について検討すべきであろう。しかし,器質的疾患の検索方法さえも確立されていない現在,内分泌系や精神神経的な問題についての検討は更に種々雑多に行われていると言っても過言ではない。
受診患者に女性例,とくに40〜50歳代のいわゆる更年期女性例が多いことから,更年期障害との関係を議論した報告は多い。しかし,実際に咽喉頭異常感が更年期障害の一症状であるのか,もしくは密接な関係があるのかを証明し得た報告,とくに内分泌動態の面から証明し得た報告は少ない。三宅1)はこの点に取り組み検討した結果,咽喉頭異常を訴える患者の内分泌動態は更年期障害患者のそれとはむしろ逆であることから,更年期障害との関係を否定すべきであると述べている。
A series of 108 female patients with climacteric syndrome was analyzed with a special attention to abnormal sensation in the throat. Twenty of 108 patients (18.5%) had the abnormal sensation without showing any organic diseases in the throat. This ratio is slightly higher than that obtained from normal women. This result suggests the relationship between climacteric syndrome and the abnormal sensation in the throat. On the other hand, we analyzed plasma concentration of estrogens (E1, E2, and E3), progesteron,luteinized hormon (LH) and follicle stimulating hormone (FSH) on 23 patients with the abnormal sensation in the throat. Three of 9 premenopausal women (33%) and 11 of 14 post-menopausal women (78%) showed higher plasma concentration of estrogens.
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