原著
視床下部—下垂体—卵巣系のaging
佐々木 謙司
1
,
島 和生
1
,
畑 宏和
1
,
仲野 良介
1
Kenji Sasaki
1
1和歌山医科大学産科婦人科学教室
pp.793-797
発行日 1980年10月10日
Published Date 1980/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206333
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女性における性機能の老化は,50歳前後に発現する閉経により明確となる。この原因は,視床下部—下垂体—卵巣系の内分泌学的な検討により,次第に明らかとなりつつある。1960年代後半頃より下垂体性ゴナドトロピン(FSH,LH),性腺ステロイド(エストラジオール,プロゲステロン)のラジオイムノアッセイが確立され1〜8),内分泌学的に詳細な研究がなされてきた。その結果として閉経以後における内分泌環境の特徴は血中エストロゲンの低下とゴナドトロピンの上昇にあることが従来のバイオアッセイ,ケミカル・アッセイの時代よりも,より明らかにされるに至った9〜15)。このような特徴的な変化は,一応,視床下部—下垂体—卵巣系におけるフィードバック機構によるものと理解されている。
しかし,卵巣という内分泌腺がなぜ加齢に伴って機能低下を示すのか,45歳以上の高齢閉経前婦人においていかなる変化が発生して閉経に移行するのか,また老化が視床下部—下垂体前葉という性上位中枢の老化によるものなのか,また卵巣が独自の加齢により機能を喪失するのかなどの点については問題点が多く,性機能の老化の機序についてはいまだ明確な結論はえられていないと考えられる。
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