トピックス 頭頸部癌に対する制癌剤の選択
悪性リンパ腫に対する制癌剤の選択
八尾 和雄
1
,
岡本 牧人
1
,
高橋 廣臣
1
1北里大学医学部耳鼻咽喉科
pp.197-201
発行日 1990年3月20日
Published Date 1990/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900035
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はじめに
悪性リンパ腫は,病理組織型,治療法,予後などが異なることからHodgkin病,Non-Hodgkinリンパ腫(以下,NHLと略す)に,大別される。本邦では欧米と異なりNHLが約90%を占め,さらに頭頸部に原発する症例が多い特徴がある。したがって耳鼻咽喉科医が診療する機会が多い。悪性リンパ腫は,発育速度が急速であるのでその診療に対しては迅速さが要求される。しかし他の固形癌と異なり病理組織所見は多彩であり診断に時間を要する場合もある。事実病理組織診断に日時を要したために予後に影響を与えたと考えられた症例も経験している。したがって組織診が出る前に,視診,触診によって診断し,治療を開始しなければならない場合もある。
また悪性リンパ腫に対する生検は,治療の準備が整っている施設でのみ行われるべきである。これはなるべく早く治療をすることが,予後を良くする絶対条件であるからである。本邦の悪性リンパ腫の特殊性(NHLが多い,頭頸部に多い)を考慮に入れて,適切な早期診断ができれば,他の頭頸部悪性腫瘍と同様,局所病として治療が可能であり,治療成績は向上すると思われる。
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