- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
「茹でガエルの法則」ってご存知ですか? カエルをいきなり熱湯に入れると驚いて飛び出すけれど,水に入れてゆっくりと熱すると水温の変化に気づかないうちに茹で上がって死んでしまうという寓話です。経営環境の変化に気づかず致命的な状況に陥ることへの警句としてビジネスの世界でよく用いられていますが,科学技術者や研究・医療に携わるわれわれにとっても重要な教訓です。長年,同じ組織に属していると次第に価値観・倫理観が茹で上がり,不正や規則の逸脱を繰り返しているうちに不誠実に鈍感になってしまう。神戸製鋼の検査データ捏造や使い捨て医療機器の再利用がよい例ですね。皆様の職場でも当てはまることはないですか? 茹で上がらないためには,いつも「家族に胸を張って話せますか?」と自分自身に問い掛けることだそうです。是非,お試しください。
さて,今月号の特集テーマは「大きく変わったTNM分類」です。今回,舌がんのT分類に深部進展が加味され,p16陽性中咽頭がんが独立した疾患として取り上げられ,p16陽性とEBER陽性の原発不明がん頸部リンパ節転移がおのおのp16陽性中咽頭がん,上咽頭がんとして取り扱われることになるなど,UICCのTNM分類が大幅に変わりました。これに併せてわが国の『頭頸部癌取り扱い規約』も改訂され,2018年1月から院内がん登録や日本頭頸部癌学会が行っている癌登録は,新たなTNM分類に従って行われることになります。本特集では,各原発部位について,本邦を代表するエキスパートの皆様に改訂の要点とその意義や問題点について解説していただきました。日常臨床で頭頸部がんを取り扱われる先生方,専門医試験の準備をされている専攻医の皆様に是非,お目通しいただきたいと思います。
Copyright © 2017, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.