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FIFAワールドカップ ロシア大会,SAMURAI BLUEは大健闘でしたね。前回優勝のドイツなど強豪が相次いで敗退するなか,見事グループステージを突破し優勝候補のベルギーをあと一歩まで追い詰めました。今年に入って不振が続いていた日本代表。監督が交代しただけで,こんなにもチームは変わるものなのですね。組織にとってトップが如何に重要であるか再認しました。
さて,本号の特集は昨年末に改訂された「頭頸部癌診療ガイドライン」です。2013年の改訂以来,わずか5年の間に,鼻副鼻腔癌や喉頭下咽頭癌に対する内視鏡手術は標準治療として全国の施設で行われるようになり,免疫チェックポイント阻害薬や甲状腺癌に対する分子標的薬など,従来の抗がん剤と全く作用機序の異なる薬物療法が登場しました。さらに,2017年末に改訂されたAJCC・UICCのTNM分類では,HPV関連中咽頭癌が古典的な中咽頭癌から独立し,p16陽性の原発不明癌はp16陽性中咽頭癌,EBER陽性の原発不明癌は上咽頭癌として扱われるようになりました。今回の改訂では,こうした目覚ましい進歩と変化をクリニカルクエスチョンとして取り上げるとともに,「Ⅲ.治療」では,「治療総論」の項が新設され,外科療法,化学療法,放射線治療に加えて支持療法,頭頸部癌患者に対するがんリハビリテーション,緩和ケアについての解説が加わりました。本特集では今回の改訂に関わったエキスパートの先生方を中心に,改訂のポイントを解説していただいています。時代とともに治療後の生活の質に対する国民の期待は高まり,類をみない高齢化社会を迎えて,併存症を抱えた高齢者が増加しました。個々の症例に対して,年齢や職業,家族構成といった社会的背景,生活環境など様々な要素を考慮して治療の戦略を立てることが求められます。本特集がますます多様となってきた治療法のなかから,個々の症例に最適の治療を選択するための道標となれば幸甚です。
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