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あとがき
丹生 健一
pp.1146
発行日 2020年12月20日
Published Date 2020/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411202578
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去る10月6日(火)と7日(水)の二日間,岡山にて第121回日本耳鼻咽喉科学会学術講演会が開催されました。新型コロナウイルス感染症の蔓延による厳しい状況のなか,1000名を超える先生方が現地参加し,Web参加登録も含めると総参加者数は6000人以上に上ったそうです。現地参加された方々の大半は終日会場内に留まり,両日とも宿題報告と臨床講演の会場は満員で,熱気に満ちた二日間でした。本当に久しぶりに生の「学会」を堪能させていただきました。綿密な計算に基づいた周到な準備により,未曾有の困難な状況を見事に乗り越え,初のハイブリッド型の総会・学術講演会を成功裏に収められた西﨑和則会長と岡山大学耳鼻咽喉・頭頸部外科学教室の皆様,同門の皆様に心より感謝申し上げます。
さて,今月の特集号のタイトルは「カラー術中写真でよくわかる 達人による頭頸部がん拡大切除」です。2000年代に入り,化学放射線療法や超選択的動注化学療法同時併用放射線治療が,進行頭頸部扁平上皮癌に対して臓器温存を目指した標準治療として実施されるようになり,専攻医や頭頸部がん専門医を目指す耳鼻咽喉科専門医が,進行頭頸部がんの未治療新鮮例に対する根治手術を術者として経験し,手術手技を学ぶ機会はめっきりと減りました。しかし,化学放射線療法後の残存・再発や,頭頸部に照射歴のある症例,臓器機能や併存症により化学放射線療法を施行できない高齢者では,今尚,手術が根治を期待できる唯一の治療法であり,頭頸部がん専門医には必須の技術です。
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