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特集 嚥下障害の完全マスター
脳・神経筋疾患にかかわる嚥下障害
Dysphagia induced by cerebral or neuro-muscular diseases
三枝 英人
1
Hideto Saigusa
1
1東京女子医科大学八千代医療センター耳鼻咽喉科・小児耳鼻咽喉科
pp.319-329
発行日 2016年4月20日
Published Date 2016/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200869
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POINT
●進行性の脳・神経筋疾患であっても,個々の患者に発症している嚥下障害の病態生理は必ずしも一様ではない。個々の患者の真の嚥下障害の病態生理を明らかにすることで,さまざまに対応が可能である。
●脳・神経筋疾患の嚥下障害の誘因,増悪因子の多くは,姿勢保持の障害とともに消化管運動不全によるものであり,その対応は重要である。
●緩徐進行性筋疾患では,嚥下障害のみを初期症状として発症する場合がある。輪状咽頭筋切断術を行い,症状の改善を図るとともに,術中に得られる筋組織の病理検査により初めて診断が得られる場合がある。
●自己免疫性疾患を中心に治療可能な脳・神経筋疾患では,嚥下障害に対する治療に固執せず,原疾患の制御が十分なされるまで,患者を励ましつつ待つことも重要である。
●宿命的な経過を辿ることが予測される脳・神経筋疾患の患者の個々の生き方,生きる姿勢,心情を尊重し,患者のQOLを維持するための適切かつ確実な情報と技術を提供することが重要である。
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