当科における最近の甲状腺手術例の検討（第1報）

A Clinical Study on Thyroid Operations in Our Department

I．緒言

　一般にわれわれ耳鼻咽喉科医が取り扱う甲状腺疾患は，結節性病変を有し手術的治療を要するものが多い。一方で甲状腺が頭頸部領域にありながら一般外科との境界領域であることから，施設によっては手術症例数の減少を余儀なくされているところがあるのが現状である。さらに超音波検査をはじめとして，術前画像検査の普及．進歩と診断技術の向上により微細病変の発見率が向上するとともに，良・悪性の鑑別能も向上し，手術症例数はむしろ減少傾向にある。

　当科が現体制になった1986年4月から1987年8月までの1年5か月間で手術的治療（open biopsyを含む）を施行した甲状腺疾患例は31例である。短期間ではあるが全例について臨床的考察を行ったので，若干の文献的考察も加え報告する。

Thirty-one patients with thyroid diseases were operated in our department for 17 months. There were 4 males and 27 females. Pathological diag-nosis was follicular adenoma in 14 patients, ade-nomatous goiter in 5, cyst in 3, Basedow's disease in 1, papillo-follicular adenocarcinoma in 6, anaplastic carcinoma in 2. Eight patients were found thyroid nodules by ultrasonography pre-operatively. Ultrasonography was used routinely, and is more useful than other examinations.