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PPARsによるアレルギー性炎症と好酸球活性化の制御
Regulation of allergic inflammation and eosinophil functions by PPARs
本田 耕平
1
Kohei Honda
1
1秋田大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座
pp.288-297
発行日 2013年4月20日
Published Date 2013/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102415
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はじめに
ペルオキシゾーム増殖因子活性化受容体(peroxisome proliferator-activated receptors:PPARs)は,ステロイドホルモン,サイロイドホルモン,ビタミンD3などのレセプターと同様にリガンド応答性の核内レセプターファミリーのメンバーである。PPARは1990年に発見され,げっ歯類の肝細胞において,ペルオキシゾーム増殖作用をもつ化合物によって転写促進能を獲得するリガンド未同定の核内受容体型転写因子として,最初にα型が単離された1)。PPARはリガンドと結合しRXRとヘテロ2両体を形成し標的遺伝子の転写を制御する。PPARは単に脂肪分解に関与する細胞内小器官であるペルオキシゾームの増殖作用だけでなく,ペルオキシゾームが増殖する際の主要なさまざまな遺伝子を調節するリガンド誘導性の転写因子であることが判明した。ほかの核内レセプターが特定のリガンドに結合するのに対し,PPARは種々のリガンドと結合しインスリン感受性増強作用などの糖代謝,中性脂肪低下作用などの脂質代謝に加え,動脈硬化,免疫・炎症反応,細胞増殖,悪性腫瘍の制御機能などのさまざまな生理活性や生体のホメオスタシス制御において主導的な役割を果たしていることも明らかになってきた。さらにその合成リガンドは近年多くの疾患の治療に応用されつつある。
本稿ではPPARとアレルギー炎症との関連,特に好酸球活性化制御について解説する。
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