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特集 アレルギー疾患モデルからの最新知見
アレルギー性気道炎症における好中球の役割とその制御
The Role of Neutrophil in Allergic Airway Inflammation
宮原 信明
1,2
Nobuaki Miyahara
1,2
1岡山大学大学院保健学研究科検査技術科学分野
2岡山大学病院呼吸器・アレルギー内科
1Field of Medical Technology, Graduate School of Health Sciences, Okayama University
2Department and Allergy and Respiratory Medicine, Okayama University Hospital
pp.927-932
発行日 2015年10月15日
Published Date 2015/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205798
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はじめに
気管支喘息の特徴は気道過敏性の亢進と気道炎症,気道のリモデリングであり,Th2タイプのCD4 T細胞および好酸球の関与は皆の認めるところであるが,好中球のアレルギー性気道反応における役割については明らかでない.急性増悪状態にある喘息患者の気道から多数の好中球浸潤を認めること,喘息死の患者肺においても好中球数の増加を認めることなどから,好中球の喘息病態生理への関与が示唆されている1,2).さらに,喘息の約40%は吸入ステロイド薬が効果的な好酸球性喘息,約25%は効果が乏しく重症化しやすい好中球性喘息であり治療抵抗性であるとの報告があり,また喘息のクラスター分類で,重症例で喀痰好中球が増加していることから,喘息の重症化,難治化と好中球の関連が近年注目されている3).
筆者らは好中球の遊走,活性化に働くロイコトリエンB4(以下LTB4)およびその受容体BLT1の気管支喘息への関与,また好中球エラスターゼのアレルギー性気道反応における役割を,マウスモデルを用いて報告してきた.また好中球性炎症を誘導するIL-17産生CD4T細胞(Th17),さらにはIL-17産生innate lymphoid cell type 3(ILC3)についての最近の報告など,喘息と好中球の関連を示唆するマウスモデルについての知見が蓄積されてきており,筆者らの研究成果と共にこれら最近の報告について概説する.
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