今月の主題 動脈硬化のトータルマネジメント
臨床に役立つ最近のトピックス
核内受容体PPARs,LXRと脂質代謝
井上 郁夫
1
1埼玉医科大学内科学内分泌・糖尿病内科部門
pp.1558-1565
発行日 2007年8月10日
Published Date 2007/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402102896
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ポイント
●ペルオキシゾーム増殖因子活性化受容体(peroxisome proliferator-activated receptor:PPAR)は,糖・脂質・肥満・血圧に関与し,最近注目されているメタボリックシンドロームとの関連性に興味がもたれている.
●PPARαのリガンドがフィブラート系薬剤であり,血糖降下薬であるチアゾリジン(TZD)製剤がPPARγのリガンドで,筋肉組織のPPARδ作用が抗肥満作用と関連する.
●liver X receptor(LXR)も,最近,脂質代謝との関わりが注目されていて,PPARとLXRと脂質代謝,それぞれがクロストークする.特に,LXRはコレステロール逆転送系に深く関与する.
●LXR,PPARは,レニン・アンジオテンシン系との関与も明らかになっている.
●最近,PPARは,時計遺伝子(CLOCKおよびBMAL1)とも相互作用し,retinoid-related orphan receptors(ROR)およびREV-ERBを介して,ともに調節していることが報告され,今後,これら遺伝子のplasminogen activator inhibitor type 1(PAI-1)への発現調節を究明することで,脳梗塞,心筋梗塞の発症の時間的偏りの機序を明らかにして,その予防に役立てる必要がある.
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