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特集 好酸球と肺疾患—最新の知見
好酸球はなぜ肺疾患を起こすのか—肺組織における好酸球活性化の調節機構
Contributing Mechanisms of Eosinuphils in the Development of Pulmonary Diseases
永田 真
1
Makoto Nagata
1
1埼玉医科大学第二内科
1Pulmonary Division, Second Department of Internal Medicine, Saitama Medical School
pp.535-541
発行日 1998年6月15日
Published Date 1998/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901702
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はじめに
好酸球研究の学問的出発点は,本細胞が1879年Ehrlichにより酸性色素によって赤染される細胞として確認されたことに萌芽の端を発している.好酸球が骨髄で産生され,組織内で機能を発揮することは当時既に示唆されており,剴切であったというべきであろう.今世紀初頭までに,寄生虫感染やアレルギー性疾患における本細胞の増加が知られるに至った.1960年代以降,好酸球の寄生虫感染における役割はその殺虫作用にあることが次第に明らかとされた1).一方,アレルギー性疾患に関しては,1970年代初頭に至るまで,主として肥満細胞由来の化学伝達物質群の中和作用にその意義が求められていた2).1973年以降,Mayo ClinicのGleichらはモルモットおよびヒト好酸球のmajor basic protein(MBP)を分離し,この特異顆粒蛋白が寄生虫傷害作用のみならず強力な気道粘膜傷害作用を有することを明らかにした3,4).以降,好酸球機能のアレルギー性炎症における意義として組織傷害能が主に着目され,本細胞のエフェクター細胞としての重要性が認知されるに至ったのである.
今日,好酸球は気管支喘息,アレルギー性気管支肺真菌症や急性・慢性好酸球性肺炎などのアレルギー性呼吸器疾患への濃厚な関与が認識されることのみならず,慢性閉塞性肺疾患やcvsticfibrosisなどにおいてもその寄与が示唆される趨勢である.
本稿では好酸球の性状や機能などに関する現時点での理解について述べるとともに,肺疾患において好酸球機能が発現し病態に貢献する機序について考察することとしたい.
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