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シリーズ 耳鼻咽喉科における日帰り手術・短期入院手術
⑫アレルギー性鼻炎の手術
⑫Surgery for allergic Rhinitis
本田 耕平
1
,
杉山 裕
2
,
宮崎 総一郎
3
Kohei Honda
1
1秋田大学耳鼻咽喉科学教室
2済生会川口総合病院耳鼻咽喉科
3滋賀医科大学睡眠学講座
pp.985-990
発行日 2004年12月20日
Published Date 2004/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100767
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I.はじめに
アレルギー性鼻炎において粘膜の肥厚は鼻閉,ひいては鼻呼吸障害という病態を引き起こす。この鼻閉は,肥満細胞から放出されるヒスタミン,ロイコトリエンなどが血管に作用することで,血管拡張,血流うっ滞が生じることが原因であるといわれる。さらには局所循環障害による浮腫,また鼻腺の腫大も鼻閉を引き起こす。しかし,これら一連の反応は可逆的であり,いわば局所のアナフィラキシー反応というべきものであるが,これにとどまらず慢性の不可逆的粘膜肥厚,つまり器質的変化をきたしている症例にもしばしば遭遇する1)。
アレルギー性鼻炎の治療方針は,抗原の除去と回避,減感作療法,薬物療法が基本である。これらの保存療法が無効の場合や,鼻内変化(甲介粘膜腫脹,鼻中隔彎曲)が高度で鼻閉が高度の場合は手術療法の適応となる。また鼻アレルギーの薬物療法は,長期処方が可能となった最近においても服薬を必要としている患者の時間的,経済的負担が少なくない。一方手術療法は,近年レーザーなどのhot knifeの発達のおかげで,以前に比べより簡便に低侵襲となり,時間的負担や経済的負担は少なく,その適応は広くなっている。われわれ耳鼻咽喉科医はこれらの治療法を患者に説明し,患者の要望や症例に応じた治療法を選択して進めるべきである。
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