Japanese
English
特集 HPV・EBVと頭頸部腫瘍
HPVと中咽頭癌
Human papillomavirus and oropharyngeal carcinoma
猪原 秀典
1
Hidenori Inohara
1
1大阪大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
pp.641-647
発行日 2012年8月20日
Published Date 2012/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102254
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Ⅰ はじめに
子宮頸癌の原因として知られるヒトパピローマウイルス(human papillomavirus:HPV)は一部の頭頸部癌,特に中咽頭癌の原因となる。HPVは外陰部との直接的な接触感染,あるいは唾液を介した間接的な接触感染により咽頭粘膜,特にWaldyer咽頭輪の陰窩から侵入して基底細胞へ感染し,その一部で持続感染が成立し発癌に至ると考えられている。HPVは120種類以上の型が同定されているが,子宮頸癌で見つかるものが高リスク型,そうでないものが低リスク型に分類される。高リスク型(16,18,31,33,35,45,51,52,58型など)は子宮頸癌のほぼ100%から検出され,また腟,外陰部,陰茎部や肛門周囲の癌からも高率に検出される。低リスク型(6,11型など)は良性の尖圭コンジローマなどの原因となる。中咽頭癌から検出されるHPVも高リスク型HPVであるが,その約90%は16型である。HPVの検出法としては,ウイルスDNAをPCRやin situ hybridizationで同定する方法に加え,p16の免疫組織化学が汎用されている。以下,本稿では高リスク型HPVを単にHPVと記載する。
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