Japanese
English
特集 HPV・EBVと頭頸部腫瘍
EBVと上咽頭癌
EBV and nasopharyngeal carcinoma
中西 庸介
1
,
吉崎 智一
1
Yosuke Nakanishi
1
1金沢大学医学部付属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科
pp.649-654
発行日 2012年8月20日
Published Date 2012/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102255
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Ⅰ はじめに
頭頸部は人体の約10%の領域であるが,多種多様な亜部位に分類されている。そして,それらの亜部位から発生する癌はおのおの固有の生物学的もしくは臨床的特徴を有している。そのため,頭頸部癌とひとくくりにして治療法を考えるのではなく,それぞれの解剖学的部位ごとに最適な治療法を吟味する必要がある。
上咽頭癌は解剖学的にもEpstein-Barrウイルス(EBV)が発癌に関与する点でもほかの頭頸部癌とは異なる特徴を有する。EBV-DNAが上咽頭癌組織中に認められて以来,上咽頭癌患者では血清中のEBV抗体価が上昇していること,上咽頭癌組織においてEBVが発現する蛋白質が検出されることなどにより上咽頭癌はEBVと密接に関連する腫瘍であることが示唆されてきた1)。さらに,上咽頭癌組織中のEBVは単クローン性であることが示され,EBVは上咽頭癌の発癌に関与することが明らかとなった2)。近年では,EBVがコードする核内小RNA(EBERs)に対するin situ hybridizationが確立し,検出がさらに容易となってきている。このように,ウイルス学的な研究の進歩と共に臨床への応用もすすんでいる。
本稿ではEBVと上咽頭癌の関連を中心に最近の知見を紹介する。
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