特集 最新の診療NAVI―日常診療必携
Ⅳ.音声・嚥下・睡眠の診療NAVI
4.いびき,睡眠呼吸障害
北村 拓朗
1
,
宮崎 総一郎
1
1滋賀医科大学睡眠学講座
pp.111-117
発行日 2012年4月30日
Published Date 2012/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102143
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Ⅰ 疾患の概説
睡眠障害については2005年の国際分類(ICSD-2)1)で107の診断名が挙げられているが,睡眠センターを受診する睡眠障害初診患者のうち,閉塞性睡眠時無呼吸症候群を中心とした睡眠関連呼吸障害群がその過半数を占める。睡眠呼吸障害は生活習慣病の発症要因となり,集中力・記憶力・学習能力や感情のコントロール,作業能率などを障害し,事故などの原因となる。さらに近年の疫学研究により,高血圧,不整脈,動脈硬化などを高頻度に合併することが明らかとなっている。
国際分類では,睡眠中の呼吸障害は「睡眠関連呼吸障害」と分類され,さらに中枢性睡眠時無呼吸症候群(central sleep apnea syndrome:CSAS),閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea syndrome:OSAS),睡眠関連低換気/低酸素血症症候群,二次性睡眠関連低換気/低酸素血症,そのほかの睡眠関連呼吸障害に分類されている(表1)。ここでは,睡眠時無呼吸症候群の中でも最も頻度が高いOSASを中心に解説する。なお睡眠呼吸障害や睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)はOSASとほぼ同義と用いられることが多いが,臨床症状の有無を考慮しないときを睡眠呼吸障害(Sleep-disordered Breathing:SDB)とし,臨床症状を伴った時にOSAS(あるいはSAS)と定義され用いられている。
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.