特集 最新の診療NAVI―日常診療必携
Ⅴ.麻痺と痛みの診療NAVI
1.顔面神経麻痺
能田 淳平
1
,
羽藤 直人
1
1愛媛大学医学部頭頸部・感覚器外科
pp.119-122
発行日 2012年4月30日
Published Date 2012/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102144
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Ⅰ はじめに
耳鼻咽喉科医が診療する顔面神経麻痺は大半を末しょう性が占める。末しょう性顔面神経麻痺のうち,60~70%を占めるのがBell麻痺であり,その多くは単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus:HSV)の再活性化により発症する。次いで水痘帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus:VZV)の再活性化により,耳帯状疱疹,末しょう性顔面神経麻痺,第8脳神経症状を呈するRamsay Hunt症候群(以下,Hunt症候群)が10~15%を占める。その他,中耳炎,顔面神経鞘腫や耳下腺癌などの腫瘍性病変,側頭骨骨折や顔面の外傷などにより末しょう性顔面神経麻痺が発症する。主な末しょう性顔面神経麻痺の原因を表1に示す。
顔面神経麻痺の原因として,中耳炎や腫瘍病変などの存在を見逃してはならないが,高頻度なBell麻痺とHunt症候群の2疾患に対する診断と治療を中心に,本稿では解説を行う。
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.