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特集 こんなときどうする?―鼻科手術編
視神経管を損傷したときの対応
Treatment for optic canal injury
洲崎 春海
1
Harumi Suzaki
1
1昭和大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.835-838
発行日 2011年10月20日
Published Date 2011/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101977
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Ⅰ.概説
視神経管は直径が約3.5mm,長さが約10mmの管で視神経と眼動脈が伴走している。脳硬膜と骨膜が癒合した膜が管内の最外層を内張りし,その内側にくも膜・軟膜に覆われた視神経が存在するが,非常に密に包まれている。視神経管眼窩側にはZinnの靭帯と呼ばれる線維性結合織が視神経を帯のように取り巻いているが,この部位が最も視神経がきつく固定されているところである(図1)1)。視神経管を損傷した場合は,たとえ神経線維や神経鞘自体を損傷しなくても,骨壁の損傷や伴走する血管の損傷により生じる骨片による圧迫や浮腫や出血による圧迫,循環障害や虚血性変化が生じて視力障害が起きる可能性がある。
視神経管隆起は蝶形骨洞,蝶形骨洞性篩骨洞(Onodi蜂巣),後篩骨洞に現れる。一般に洞の発育,特に蝶形骨洞の小翼の気胞化が良好なものほど隆起が著明になる(図2,3,4)。足川2)の報告によると,視神経管が蝶形骨洞天蓋に現れるものが25%,Onodi蜂巣に現れるものが12.5%,蝶形骨洞と後篩骨洞の境界部に現れるものが10%,そして後篩骨洞に現れるものが52.5%となっており,この数字は鼻手術をする際に念頭に入れておく必要がある。
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