特集 耳鼻咽喉科感染症の完全マスター
Ⅰ.耳鼻咽喉科感染症の基本をマスターする
6.SSI(surgical site infection)の概念とその予防
中山 明峰
1
1名古屋市立大学医学部耳鼻咽喉科
pp.47-49
発行日 2011年4月30日
Published Date 2011/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101817
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Ⅰ はじめに
手術部位感染(surgical site infection:SSI)は患者自身に負担がかかるのみならずその治療は医療従事者にとっても負担となるうえ,患者の不信を生む可能性も孕んでおり,場合によっては医療訴訟に至る症例もある1)。そのため,術前より万全を期するべく対策を立てる必要がある。
米国では1999年にThe Hospital Infection Control Practices Advisory Committeeより,SSI予防のガイドライン2)が発表され,以来世界的に積極的な討論や報告がなされている。これに対し,わが国ではSSIに関する報告は少ない。感染症に起因する疾患が手術対象になることが多い耳鼻咽喉科領域の手術において,術後感染の可能性が高いにもかかわらず一般外科と比較するとその情報量の少なさは顕著である。SSI予防をすることにより手術を成功に導くのみならず,必要のない抗菌薬投与を削減できると考える3,4)。
本項では米国のガイドラインをもとにSSIに対する考え方ならびに抗菌薬投与方法を紹介する。
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