特集 耳鼻咽喉科感染症の完全マスター
Ⅰ.耳鼻咽喉科感染症の基本をマスターする
1.耳鼻咽喉科感染症の動向
戸川 彰久
1
,
山中 昇
1
1和歌山県立医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科
pp.13-18
発行日 2011年4月30日
Published Date 2011/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101812
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Ⅰ はじめに
耳鼻咽喉科領域感染症の最近の大きな変化は,肺炎球菌やインフルエンザ菌に代表される起炎菌の抗菌薬に対する耐性化の著明な進行である。この変化は日常臨床における急性中耳炎や急性鼻副鼻腔炎の難治化に現れている。すなわち,従来,ペニシリン系抗菌薬やセフェム系抗菌薬の投与で治癒していた急性中耳炎や急性鼻副鼻腔炎症例において,治療に難渋する例がここ数年劇的に増加してきた。
1996年から耳鼻咽喉科領域の全国的な感染症分離菌サーベイランスが行われるようになり,2008年に第4回の結果が報告された。さらに,増加する耐性菌対策として,代表的な耳鼻咽喉科感染症に対する治療指針として,診療ガイドラインの作成が検討され,エビデンスに基づいた治療を行うために,小児急性中耳炎診療ガイドラインが2006年に発表され,2009年にその改訂版が発表された。さらに2010年には急性鼻副鼻腔炎診療ガイドラインが発表され,治療の統一化がなされるようになった。
本稿では耳鼻咽喉科領域感染症全国サーベイランスおよび急性中耳炎診療ガイドライン,急性鼻副鼻腔炎診療ガイドラインについて解説する。
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