感染症の検査法 Ⅱ 感染症各論
[10]耳鼻咽喉科領域感染症
馬場 駿吉
1
1名古屋市立大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.656-660
発行日 1989年5月15日
Published Date 1989/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205003
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はじめに
耳鼻咽喉科領域に属する各部位,例えば鼻腔,副鼻腔,口腔,咽頭,喉頭などは,気道,食道の入口に位置して外界と直接,接触をもっており,また中耳も耳管,鼻腔・咽頭を介して外界と交通している.したがって,これらの部位へは吸気あるいは摂食,また近年の性風俗の変化に伴い,性行為によっても種々の微生物が侵入する機会が多く,感染症の好発するところとなっており,微生物検査が必要となる場合も多い.また一方,鼻腔,口腔,咽頭,外耳道などには常在菌叢が存在し,通過者的な細菌も多いところである.微生物検査に当たっても,検査材料にこれらの混入を防ぐ工夫が必要であるとともに,検査データの読み取りに当たっても,真の起炎菌を正しく鑑別することが重要である.
以下に耳鼻咽喉科の代表的感染症の現況を概説し,微生物検査のうち,主として細菌検査における留意点について述べたい.
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