増刊号 感染症検査実践マニュアル
Ⅵ.感染症とその検査法
9.耳鼻咽喉科領域の感染症
鈴木 賢二
1
,
馬場 駿吉
1
1名古屋市立大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.141-144
発行日 1996年6月15日
Published Date 1996/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902761
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はじめに
耳鼻咽喉科領域の器官の多くは生体が外界と接する最前線にあり,感染症の好発部位となっている.よってわれわれ耳鼻咽喉科医は日々の臨床において,中耳炎,副鼻腔炎,扁桃炎をはじめとして多くの感染症に遭遇している.これら耳鼻咽喉科領域感染症を診断治療するに当たり,われわれが最もよりどころとしているのが微生物検査の成績,すなわち原因微生物の同定と薬剤感受性試験成績である.
この微生物検査は,抗菌薬に対する細菌の感受性が著しく変化してきている昨今では至適治療薬剤の選択の指標として極めて重要かつ不可欠な検査となっている.また,われわれ臨床医は検体採取と同じ日から治療を始めるのが一般的であるので,各疾患における起炎菌についての知識が必要であることは論を待たないのだが,検査データと臨床との不一致など時々耳にすることもあり,検査する技師にも起炎菌に関しての十分な知識が必要であろうと思う.さらに耳鼻咽喉科領域の鼻腔・口腔・咽喉頭にはいわゆる常在菌が存在しており,原因微生物決定に当たっては,それら常在菌に関する知識も重要である.
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