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先週,事業仕分け第3弾がありました。政権交代した民主党の目玉政策の一つとして昨年の11月に国の449事業の見直しで始まった事業仕分けですが,今回は特別会計にメスを入れようとするもので,年金特別会計や社会資本整備事業特別会計などが注目されました。私もこれまで事業仕分けを『蓮舫劇場』として人事のように楽しんできましたが,どうも人事とばかりはいっていられなくなってきました。文部科学省の大学院教育事業やGCOEプログラムにまで影響が出てきました。医学や科学の分野で世界をリードするための若手研究者育成に十分な資金援助ができるように適切な事業仕分けがなされることを切に期待したいと思います。
さて,今月号の特集は『耳鼻咽喉科における心因性疾患とその対応』です。昨今の超高齢化に伴う社会環境の変化などに伴って心因性疾患が増加しています。特に感覚器や口腔・咽喉頭疾患を扱う耳鼻咽喉科では心因性疾患の罹患率が高いといわれています。第2回耳鼻咽喉科心身医学研究会が昨月開催されましたが,その特別講演で日本大学心療内科診療部長の村上正人先生は日本では心療内科医育成の環境が整うのにはもう少し時間がかかるため,各診療科で各領域の心因性疾患の診断・治療ができるような教育を行うことが望まれるとコメントされていました。本特集はまさにそのテキストとしても最適で耳鼻咽喉科の心因性疾患と各疾患への対応がわかりやすくまとめられています。是非,通読されることをお勧めします。Current Articleは下郡博明先生に『耳科手術における耳介軟骨の使用法』を解説していただきました。図と写真を多用したわかりやすいテキストで特にこれから耳科手術を習得しようとする先生にお勧めです。シリーズは三枝英人先生の『嚥下』,兵頭政光先生の『発音・構音』です。両論文とも嚥下,発音・構音の生理と病態の知識の整理に大変役立つことと思います。目でみる耳鼻咽喉科は『喉頭結核』です。残念ながら結核撲滅までのハードルは高く,依然として耳鼻咽喉科臨床の最前線では決して忘れてはならない疾患です。
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