特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の検査マニュアル―方法・結果とその解釈
Ⅴ.口腔・咽頭・唾液腺の検査
2.味覚検査
任 智美
1
,
阪上 雅史
1
1兵庫医科大学病院耳鼻咽喉科
pp.181-186
発行日 2010年4月30日
Published Date 2010/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101609
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Ⅰ はじめに
近年,生活の質QOL(quality of life)が重要視されるようになり,感覚医学が重要な位置を占めるようになった。直接生命にかかわらないため,今まで関心が薄かった味覚障害も注目されるようになり,当科味覚外来でも患者数は年々増加の一方である。
味覚が障害されると塩分・糖分の過剰摂取による血圧・血糖値上昇だけでなく,食欲低下による免疫力低下,意欲低下を引き起こすことがある。さまざまな疾患や内服薬で発症することがあり,他科との連携も重要であるが,やはり耳鼻咽喉科医が中心となって検査・治療していきたい領域である。
味覚は単一刺激を作り出すのが難しいこと,疲労現象が起こりやすいこと,背景の影響を受けやすいことなどから,他の感覚より臨床検査の開発に遅れが感じられる。しかし近年,味覚の基礎研究が飛躍的に進むにつれ,臨床検査も研究・開発が進んできている。まだ臨床応用が困難なものも多いが,今後,種々の味覚検査の臨床的特徴が明らかになるとともに,味覚障害の臨床像も明確になっていくことが期待される。
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