特集 頭頸部再建外科―日常臨床から理論まで
Ⅰ.再建材料とその採取法
2.皮弁 2)血管付き (1)前腕皮弁の採取法
中溝 宗永
1
,
横島 一彦
1
1日本医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科
pp.21-25
発行日 2009年4月30日
Published Date 2009/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101413
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Ⅰ はじめに
前腕皮弁は30年以上の長い歴史をもつ有用な遊離再建材料である1,2)。柔らかくしなやかであるため,頭頸部癌切除後の複雑な形状の皮膚・粘膜の欠損を覆うことができる。また,切除と同時に皮弁採取ができて,手術時間の無駄が少ない。さらに,ほかの遊離皮弁と比較して血管茎を長く設定できるため,放射線治療後や再手術例などで移植床血管系に問題を孕んでいる場合でも,やや離れた条件のよい血管での吻合を選択できる利点もある。一方,筋皮弁に比べて菲薄なため,筋体による組織の充塡と保護が必要な部位の再建には不向きである。また,恵皮部の問題もあって,着衣が半袖の場合は,前腕部に手術瘢痕が露出する整容上の欠点もある。しかし,頻繁に用いられる重要な皮弁であって,前腕皮弁というオプションなしでの頭頸部再建は全く考えられない2,3)。皮弁採取は,2,3のポイントを踏まえれば簡単に行える手術であって,すでに採取法については数々の文献4~10)があるが,今回はわれわれの行っている前腕皮弁の採取法を述べる。
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