特集 再建外科
I.再建材料とその採取法
3.筋皮弁
広背筋皮弁の採取法と実際
酒井 成身
1
1聖マリアンナ医科大学形成外科学教室
pp.41-46
発行日 1999年4月30日
Published Date 1999/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901971
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はじめに
広背筋皮弁は,各種皮弁の概念において,同時に移動する筋が血行の通路として厚い組織を移動するための筋皮弁として先駆的役割を果たした中心的な存在である。広背筋は腰背部から起こり上腕骨近位部に停止し,その部を要とするような扇形をした体の中で最も大きい筋である1)。広背筋へ腋窩部から入り込む栄養血管の胸背動静脈も太く長く,腋窩部をピボット・ポイントとして胸部や側頭部2),頸部3),頬部や肩4),上腕5)の大きな皮膚皮下組織の欠損を覆うことができる非常に有用な筋皮弁である。さらにマイクロ・サージャリーにより血管吻合を行い遊離皮弁とすれば4,6),遠く離れた部位にある組織欠損へも移植できる。また,特にこの筋皮弁は乳房再建に最もよく用いられる重要な筋皮弁で7,8),筆者はこの筋皮弁を多用している。
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