特集 再建外科
I.再建材料とその採取法
2.皮弁
(2)血管付き—前外側大腿皮弁
光嶋 勲
1
,
稲川 喜一
1
,
森口 隆彦
1
1川崎医科大学形成外科学教室
pp.28-34
発行日 1999年4月30日
Published Date 1999/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901969
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
1984年に発表された前外側(または前内側)大腿皮弁1)は,これまでの遊離皮弁と比べ多くの利点をもつことがわかり,頭頸部再建の有力な候補となりつつある。われわれも1985年以来,これまでに200例以上の遊離前外側(または前内側)大腿皮弁を用いた再建を行ったが,いくつかの新しい頭頸部の再建術(キメラ型合併組織移植,モザイク型連合皮弁移植,thin flap,血管付き外側大腿神経移植など)が考案され続けている2〜15)。これらの経験を通じて本皮弁の大まかな特長として,以下の事項を挙げたい。
(1)複雑な欠損に対応でき成功率が極めて高い。
(2)腫瘍切除と皮弁挙上が同時に進行でき,広範囲欠損例に要する従来の手術時間を大幅に短縮した。
(3)再発を繰り返す頭頸部癌の複数回切除再建を可能とした。
以上より,われわれにとって本皮弁は頭頸部再建の切り札となっている。さらに近年,本皮弁の血行の解剖学的特徴は穿通動脈皮弁の概念を生み,腹直筋穿通皮弁などの新しい穿通皮弁が次々と開発されつつある。本稿では,この前外側(または前内側)大腿皮弁の解剖とその採取法を主に述べる。
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.