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副鼻腔炎病態の新展開
Recent advances in the study of pathology of chronic rhinosinusitis
平川 勝洋
1
Katsuhiro Hirakawa
1
1広島大学大学院医歯薬学総合研究科耳鼻咽喉科学・頭頸部外科学
pp.175-182
発行日 2009年3月20日
Published Date 2009/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101388
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Ⅰ はじめに
慢性鼻副鼻腔炎は“古くて新しい疾患”であるといった表現が当てはまる疾患である。1980年代にかけて,診断技術として冠状断CT撮影装置の導入,保存的療法としてマクロライド少量長期投与の開発,手術療法として内視鏡下鼻内手術の提唱と普及,といった三本柱が確立されて本病態をめぐる諸問題はほぼ解決したものと思われるようになった。しかし本世紀に入って,それに対抗するような形で好酸球性炎症が優位な症例や気管支喘息を合併した難治例など,新たな難治性の病態が出現してきていることを考えると,まさに的を射た表現であるとの印象が強い。今後も耳鼻咽喉科疾患のなかで,慢性副鼻腔炎は重要な位置を占めることが予想される。
本稿ではこのように変遷しつつある副鼻腔炎の病態について,①副鼻腔炎の非感染性な側面を主として反映している好酸球浸潤と鼻茸形成,さらには真菌の関与をめぐる諸問題,②気管支喘息を代表とする下気道病変との関連性などについて,その病態成立の鍵と治療への対応について当教室のデータを紹介しつつ,述べていきたい。
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