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『耳鼻咽喉科専門研修を始める医師へ』の特集がスタートして,少しずつ数も増えてきました。本号では疾患とその処方例として,耳鼻咽喉科医が投与する代表的な内容を4人の先生にお願いしました。耳鼻咽喉科医になったばかりの先生だけでなく,ベテランの先生方にとりましても知識の整理と同時に有用なものとなることを期待しています。今後も役に立つテーマを選択して,新耳鼻咽喉科医の先生方の血となり肉となるような特集にしたいと思います。
最近のテレビのニュースや特集をみていますと,地方の病院の医師不足の現状に関するものや,病院閉鎖の実態が多く報道されています。この7月には,千葉の銚子市立病院が入院患者のいるまま9月閉鎖を発表したことがニュースとなっていました。医師が続けて辞めたことから,市自体がつぶれるほどの累積赤字となったためとしていました。同様のことは全国にあり,今後の医療崩壊を食い止める方策が模索されていますが,かなり深刻な状態は続いています。患者,医師,医療従事者の協力で改善してきた病院も紹介され,番組の最後には希望をもたせる形で締めくくっていますが,全病院に期待するのも酷な話でした。売り手市場の研修医の勧誘のため各病院,各科の接待費は以前に比べて跳ね上がっており,疑問に思うと感じる先生も多いことでしょう。医学部の定員を増やすとする話も上がっていますが,入学して6年+2年+専門科入局とすると,医師として活躍できるまでには10年以上かかり間に合わない気もします。私自身が大学病院に席を置いているからかもしれませんが,大学のいわゆる医局(医局と呼ばない大学もありますが)に入局して,その後,大学に残るか,あるいは病院勤めや開業するということを決める形態は,現在のバラバラになりつつある状態に比較してむしろ問題はなかったように思えます。このような状態に厚生労働省はどのような手を打ってくるのでしょうか? さらに学校におけるモンスターペアレントと同様に,病院にはモンスターペイシャントの増加があり問題は山積しています。医師である私の後輩が最近執拗に言い掛かりをつけたモンスターペイシャントを逆に訴え,見事勝利したことに思わず拍手を送りました。
将来に対する不透明な部分も多くありますが,勉強しておくこと,患者さんやコメディカルとは良好な関係を築いておくこと,各診療所,病院と連絡を密にしていくことが重要であることに変わりはなく,あくまでも前向きにいることが大切でないかと考えています。
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