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時間の経過するのは早く,昨年は医学界において山中教授のiPS細胞のノーベル賞受賞の一報,続くM氏のヒトへの臨床応用捏造騒ぎがありましたが,後者のほうはあっという間に過去の事件となり,その後は衆議院解散選挙,10数党の乱立,トンネルの事故,北朝鮮ミサイル騒ぎと,このあとがきが掲載されるころはいくつもの新しいできごとが起こっているものと思います。おそらく政党の多くは消滅しその数は少なくなっていることが予想されます。先日,出席しました基礎~臨床のすべての学会の委員が集まる会議で,コーディネーターの先生より「日本から発信される論文は捏造が多く問題となっていること,ある日本人麻酔医の190編前後の英文捏造論文が発覚し,これまで1位だった90数編捏造の海外のDrを抜きダブルスコアでトップになったこと,日本で発刊される英文誌は認められないものが多く,今や中近東や東南アジアの捏造に近い論文のよい投稿先になっていること」などが話されました。そのなかでの山中先生の快挙,M氏の超極端な捏造という風に今回「感激と惨劇」が同時に登場した感じです。さて本誌1月号には感激の内容が多く掲載されています。田中康弘先生のCurrent Article「組織再生工学を応用した中耳疾患の病態解明」として真珠腫性中耳炎の実験モデルの作製から病態を突き止めようとするものです。特集として「花粉症」に対しての総説で従来と異なった切り口で,漢方や食事療法まで踏み込んだ内容となっています。原著としては5編の論文が掲載されています。舌癌に関する臨床検討,唾石症,声門下血腫,彎曲型咽喉頭鏡の応用,鋭的頸部外傷症例などいずれも興味ある内容で,日常診療に役立つ内容です。2013年には本誌のさらなる充実が期待されます。編集委員,医学書院ともども心機一転,さらなる努力をしたいと思います。
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