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あとがき
吉原 俊雄
pp.894
発行日 2011年10月20日
Published Date 2011/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101991
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3月の震災以降,原発事故は終息というよりむしろ放射能汚染問題の増加,事故時初動の問題点噴出,行き場のない放射性廃棄物の問題,被災地の復興の遅れなど毎日の不安感は一向にぬぐえない状況です。また,東北3県以外でもさまざまなトラブルが発生していますが,あまりニュースにはなっていません。一刻も早い復興が望まれます。放射能に対する不安の一環として,日常の耳鼻咽喉科診療でもX線検査,CT検査などに対する被曝の不安を訴える患者さんもやや増加しています。このあとがきを書いている今まさに内閣人事が発表されましたが,期待も半分,本号が発刊される頃にはむしろ新たなトラブルが起きているかもしれない不安も半分といったところです。政治の混迷は続きそうです。
一方,本誌については今回も悲観的な要素はなく充実した内容になっています。特集「こんなときどうする?―鼻科手術編」では日常臨床の場で知りたい内容が豊富に詰まっています。鼻科手術を行う勤務医の先生,これから手術を始める耳鼻咽喉科フレッシュDr. のいずれの先生方にも有意義です。編集委員一同,企画「こんなときどうする?」をさらに充実させていくつもりです。投稿いただいた原著論文もすべて興味ある疾患です。症例報告の理解を進めることは日常診療に役立つだけでなく専門医試験の対応にも有用です。鏡下囁語では瀬戸口壽一先生が,柴苓湯によるメニエール病治療の経験を詳細に書かれています。漢方薬に不慣れな若手の先生には興味ある,また有意義な内容です。ぜひ,多くの論文投稿をこれからもよろしくお願いいたします。
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