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今年の4月号のあとがきに,耳喉頭頸の英文誌を発行する夢について述べました。そこで英文誌として引用したものは,Acta Oto-laryngologica,Laryngoscope,およびAnnals of Otology Rhinology & Laryngologyでした。そうしたところ,日本にも立派な耳鼻咽喉科の英文誌があるではないかとのご指摘を受けました。確かに,Auris Nasus Larynx(ANL)があります。この雑誌は,当初は国際耳鼻咽喉科振興会(SPIO)が発行していましたが,その後,日本耳鼻咽喉科学会が論文の審査・編集などを行い,Elsevier社から出版されています。編集子もANL誌には相当数の論文を投稿し,掲載されており,この学術誌を無視したものではありません。文章の流れのうえから,ここでは海外の雑誌を引用するのがよいと判断したために,あえてANLを引用しませんでした。このANLも,担当の方々の大変な努力のおかげで,数年前からimpact factor(IF)が与えられました。現在のところ,IFはまだ0.45程度ですが,今後上昇することが期待されています。IFを得るために,編集者は種々の努力をしています。その1つが,original論文とcase reportのページ数を含めた数のバランスです。したがって,4月号で述べたような,症例報告を主体とした耳喉頭頸の英文誌を発行するという編集子の希望は,ANL誌でもかなえられません。むしろ,原著論文主体の雑誌へ向かうことが,この雑誌の本来の姿だと思われます。
耳喉頭頸の発行元である(株)医学書院は,この5月に新本社ビルに移転しました。それを期に,いくつかの場所に分かれていた部署もそこに集結することになったようです。この本社ビルの新築と移転という機会は,雑誌の新たな展開をスタートさせるには,きわめてよい時期であると思っております。4月号の繰り返しになりますが,新たな英文誌を刊行するために越えなければならないであろう幾多のハードルを乗り越えて,一刻も早く耳喉頭頸の英文誌発刊を実現したいものです。
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