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新年度から多少時間がたち,読者諸兄もようやく人や体制が新しくなったことに適応できた頃だと思います。編集子の所属する大学でも,昨年度まで一緒に仕事をしていた2人の教授が定年を迎え,新しい教授が就任しました。自分の診療所などをもたないわれわれのような者にとって,定年は避けられない定めです。好むと好まざるとにかかわらず,定年はやってきます。編集子もあと2年弱で定年を迎えます。定年は人生の1つの区切りを強制的につけられるというシステムで,ある意味ではよいシステムだと思います。そのまま,一生その職務を続けることを思うと,むしろある年齢から後向きの思考になる可能性が大だと思われます。定年は,このような観点からすると,これを次への新しい出発点への区切りとして,新たなことを始めるきっかけを作ってくれるものかも知れません。これは,定年を前向きに考えれば,大きなメリットだと考えられます。したがって,決まった定年のない方々は,どのようにして1つの区切りをつけるのか,恐らくなかなか難しい判断になるのではないかと想像されます。一方,欧米にみられるように,定年を迎えてもアクティビティの高い人は,そのポジションにとどまって仕事を続けるシステムも考えてみてもよいかも知れません。この場合は,そのポジションにとどまるために,次の人のポジションを塞がないための工夫を明確にしておくことが必須条件になります。特に,基礎医学の研究者では,その個人が競争的研究補助金を獲得できるような実力と熱意があるのであれば,その人の研究場所を提供するようなシステムを日本でも早急に考えるべきでしょう。
しかし,医学の勉強に定年はありません。本誌が,そのための手段の1つになれば幸いです。
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