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あとがき
吉原 俊雄
pp.278
発行日 2007年3月20日
Published Date 2007/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101107
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1月も終わりに近づきこのあとがきを書いておりますが,本号が発刊されるころは花粉症で耳鼻科診療は大忙しのときと思います。ここ数年間の医療の変貌を大学,病院,診療所それぞれの立場で感じられているはずですが,大学病院では昨年の竹中 洋先生(78巻12号・2006年11月号)のあとがきでも触れられていましたとおり,教授,助教授,講師,助手という職名が新しい職名へと変更されることになります。その理由,意味づけはそれなりになされていますが,呼び名が変わる以外,実際は何がどのように変革されるのか明らかではありません。
さらに学位についても新しい動きがあり,医学部ではこれまで大学院修了後に取得する甲種医学博士といわゆる論文博士である乙種医学博士がありましたが,この乙種を廃止していくというものです。つまり他の学部と同様にするというものです。大学,病院,開業で医学博士を有している医師のかなりの数がこの乙種の形態で取得しているケースが多いはずです。耳鼻咽喉科に限らず他科では必ずしも学位取得に固執せず専門医取得を目標とする医師もいることから,この提案が実行されると今後大学の講師以上に必要条件である学位取得者が減少すること,つまり教育職につく母集団の減少という危惧があります。医学部の場合,仕事すなわち診療をしながら関連疾患の研究を行い,まとめていくという作業は大切なことです。医学部における乙種学位の必要性と意義について,いつでも答えられるように今後議論しておく必要性があります。
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