鏡下咡語
恩師高原滋夫先生と無カタラーゼ血症
藤森 春樹
1
1医療法人藤森医療財団藤森病院
pp.554-555
発行日 2003年7月20日
Published Date 2003/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100937
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某書店発刊の耳鼻咽喉科全書シリーズ中「耳鼻咽喉科と全身疾患」を手にして,血液疾患の中に「無カタラーゼ血症」Acatalasemiaの記載がないのに気づいた。もちろん,現在よくみられる疾患でないから取り上げられなかったのだろうと推察される。しかし,その業績で耳鼻咽喉科医として学士院賞を受賞され学士院会員にもなられた,私の恩師高原滋夫先生の業績が忘れ去られようとしているのかと思い,世界的に認められるまでの御苦労も含め改めて紹介したい。
耳鼻咽喉科領域においては,手術創面の消毒に好んでオキシドール(3%過酸化水素水H2O2)が用いられている。その際,H2O2の滴加と同時に多量の気泡の発生がみられることは周知の通りである。この現象は血中に存在するカタラーゼ酵素の作用によりH2O2が化学反応を起こし,その際に発生するO2が気泡となって出るのである。
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