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特集 耳鼻咽喉科領域の真菌感染の治療
5.致死的感染
5.Fatal mycosis in the field of otolaryngology
片田 彰博
1
,
原渕 保明
1
Akihiro Katada
1
1旭川医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
pp.321-330
発行日 2007年4月20日
Published Date 2007/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100851
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Ⅰ.致死的感染症である深在性真菌症
近年,真菌感染症(真菌症)は増加傾向にあり,特に大学病院や特定機能病院では,感染症のなかで真菌症の占める割合が増加している1)。真菌症は,その病巣の形成部位に基づいて表在性真菌症,深部皮膚真菌症,深在性真菌症の3つに大別される。なかでも重篤な病態を呈し,時に致死的感染症となりうる深在性真菌症の発生率は増加傾向にあり,わが国における集計でも内臓真菌症の剖検数は明らかに増加している2)。
深在性真菌症を引き起こす起因菌を表1に示した3)。これらの起因菌は通常の生活環境や生体内に常在し,もっぱら院内感染として感染抵抗力の低下した患者に日和見感染型の真菌症を引き起こす。起因菌別にみた最多疾患はカンジダ症,次いでアスペルギルス症であり,以下発生率は非常に低くなるがクリプトコッカス症,接合菌症(ムコール症)が続いている。古くからこの4種が4大真菌症とされてきたが,最近では新種の起因菌としてトリコスポロンやニューモシスチスが出現するようになった。カリニ肺炎の病原体として知られるPneumocystis cariniiは,以前には原虫の一種と考えられていたが,その細胞学的および分子生物学的特性に真菌との共通性がみられることから,現在では真菌として分類されている。
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