Japanese
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特集 耳鼻咽喉科領域の真菌感染の治療
3.鼻副鼻腔真菌症の臨床
3.Clinicopathological features of mycotic infection in nasal cavity and paranasal sinuses
川内 秀之
1
Hideyuki Kawauchi
1
1島根大学医学部耳鼻咽喉科
pp.311-316
発行日 2007年4月20日
Published Date 2007/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100849
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Ⅰ.成因
真菌が鼻副鼻腔に侵入して定着・増殖することによって真菌感染を引き起こすが,菌体側の病原性が強いことと同時に,宿主の感染抵抗性が減弱していることが発症の要因と考えられている。真菌の菌種としてはAspergillusが最も多く,次いでMucor,Candidaといわれている。AspergillusやCandidaによる副鼻腔真菌症は健常者に発生することが多い。Aspergillusは嫌気状態で病原性を発揮することから,副鼻腔の酸素濃度の低下が原因となることが示唆されている1)。一方で,Mucorによる真菌症は糖尿病に合併して発生する場合が多い。本症の原因として知られているクモノスカビは糖を多く有しており,酸性条件下で存在しやすいことと,ケトアシドーシスにより宿主側の食細胞の機能が低下していることが関係していると考えられている。また,抗菌薬,副腎皮質ステロイド薬の長期連用は,真菌症の誘因となることが示唆されている。
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