今月の表紙
全脈絡膜萎縮症の蛍光眼底写真
西村 治子
1
,
玉井 信
2
1公立昭和病院眼科
2東北大学眼科
pp.251
発行日 2001年3月15日
Published Date 2001/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410908961
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患者は30歳の男性で,1997年3月ころに右眼に変視症が出現し,3月7日に当科を受診した。視力は右0.9(矯正不能),左1.0(1.5×0.5D cyl−0.25DAx90°)で,視野検査では両眼ともに狭窄,沈下があった。眼底は健常網膜を黄斑部にのみ残す,広範な脈絡膜萎縮を認めた。血清オルニチンは正常であり,保因者である母親に特徴的な斑紋上眼底を認めたため,全脈絡膜萎縮症と診断された。本症はX染色体遺伝性の,びまん性のtotal choroidal vascular atrophyと規定される脈絡膜ジストロフィの一型であり,男性のみに発生する。眼底には初期からびまん性の網膜色素上皮と脈絡膜毛細血管板との萎縮,消失が発生し,脈絡膜の中血管,大血管が透見されるようになる。この時期でも網膜内層や視神経は比較的健常に保たれているこの蛍光眼底写真では,黄斑部を除く部位では色素上皮と脈絡膜毛細血管板の萎縮,消失があるため,脈絡膜の血管造影像が明瞭に認められる。黄斑部は色素上皮と脈絡膜毛細血管板が残存しているため,脈絡膜血管は見えない。
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