やさしい目で きびしい目で・15
『メガネで一人前』
亀山 和子
1
1東京女子医科大学
pp.325
発行日 2001年3月15日
Published Date 2001/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410908978
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30数年前,眼科へ入局した頃のことを思い返すと,何をとっても人の力が主体で,コンピュータ時代の現在と較べると,未開の時代であった。種々の検査機器も未開発で,屈折検査にもオートレフラクトメータではなく,自分の眼と技術が頼みの検影法で行っていた。またORTなる職種もなく,新人からベテランに至るまで自らが屈折矯正,視力検査をはじめ,視野検査はもとより弱視の訓練も行っていた。そして「眼鏡の処方が一人でできたら一人前になったと認めよう」と先輩(オーベン)に言われた。
現在では,眼鏡処方はORTや眼鏡店の眼鏡士の役目と考えられているところがある。しかし視力検査は眼科診療の基礎であり,屈折検査はその第1歩として修得したい技術である。視野検査しかり,眼筋機能検査しかりである。少なくとも研修医の間にぜひ身につけたいものである。一言で屈折検査,眼鏡処方といっても,その使用目的によってさまざまな種類がある。かつては遠用,近用の2種類であり,遠近両用は二重焦点レンズであった。しかし現在では累進焦点レンズが主流となり,生活状態に応じて遠近,中近などの使い分けをするようになった。特に近年では屈折の矯正はめざましい進歩があり,PRKやLASIKが広がりつつあるが,まだ眼鏡が大きな役割を占めている。またOA器機の使用により眼精疲労を訴える者が多く,特に調筋力の低下した老視の初期では,症状が強調されて訴えられる。
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