やさしい目で きびしい目で・36
はじめての出産
大野 京子
1
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科視覚応答調節学
pp.1797
発行日 2002年12月15日
Published Date 2002/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410908003
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このエッセイのご依頼を頂いてから何について書こうか悩んでおりましたが,やはり私にとってこれまでの人生で最大のビッグイベントであった,「はじめての出産」について書きたいと思います。今年2002年2月28日,大安吉日の夕方5時に長女,京香(きょうか)を出産いたしました。女医にとって,いつ子供を出産するかというのは悩むところです。早い時期,研修医であるうちに出産してその後仕事に追いつくべきか,それともある程度キャリアを積んでから産むのか。私の場合は医師になって間もない頃は,公私ともにまだまだやりたいことがたくさんあったため,ある程度のキャリアを積んで30代前半で産もうと思っていました。しかしその後留学の機会を頂くなどして,当初の自分の予定からはずいぶんと日が経っていました。いわゆるマル高に入ってしまってどうしよう……と思っていた時期に,今回の妊娠が発覚したのです。まさにぎりぎりセーフの状態です。
そんなこんなでバタバタの中で妊娠し,しかも妊娠中も夜遅くまで,土日もほぼフルに働いていたという過酷な状況のわりには妊娠経過は至って順調でした。しいていえばつわりがひどかったくらいです。外来診療中は吐きたくなると,「ちょっと失礼」といってトイレに駆け込むことができますが,大勢の学生相手の長時間の講義中では,途中退出はなかなかできません。吐き気を催しながらも何度も我慢して休み時間を待ってトイレに走るような状況でしたので,学生さんには迷惑をかけました。
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