日本の女性はしあわせか・5
出産
村松 博雄
,
吉武 輝子
,
松村 澄子
1
,
今尾 貞夫
2
1長橋産婦人科
2東大病院
pp.56-59
発行日 1968年8月1日
Published Date 1968/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914086
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出産の意義
伝統的な家族制度の中で生活せざるを得なかった戦前の女性にとって,出産は,母性の開花による充足感,愛するものの子どもを生む喜びという積極的な意味合いより,むしろ子どもが生めない場合,嫁の追い出し離婚が行なわれる不安から逃れられたという,消極的な意味の方が大きかったように思われる。
儒教の影響を受けた封建的家父長制度では,父子関係は,夫婦や母子関係より重くみられ,夫婦関係そのものが男子を生むためのものというふうになっていた。したがって,子のない嫁は「ウマズメ」と蔑まれ,嫁であって嫁にあらずという不安定な座におかれていたのである。
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