特集 緑内障診療ガイド—今日の戦略
Ⅱ.治療の実際
4.難治性緑内障治療の実際
真性小眼球症の治療
須田 生英子
1
,
福地 健郎
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科生体機能調節医学専攻 感覚総合医学講座 視覚病態学
pp.245-248
発行日 2002年9月10日
Published Date 2002/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907927
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はじめに
真性小眼球症は,両眼の眼軸長が14mmから20.5mmと短く,他の身体的または眼科的な異常を伴わない疾患と定義されている1)。遠視の強い症例が多く,脈絡膜の異常な発達と強膜の肥厚,強膜におけるコラーゲンの異常やコンドロイチン硫酸の減少が報告されており2),蛋白透過性の低下に伴いuveal effusionや非裂孔原性網膜剥離を生じやすい3)。また,眼球内容積が正常眼の2/3程度に減少しているにもかかわらず,水晶体の容積はほぼ正常であるため,正常眼では3〜4%である水晶体の占める割合が10〜32%までになり4),この解剖学的な異常が40〜60代の比較的若い年齢で閉塞隅角緑内障を引き起こす原因と考えられている。真性小眼球症眼は,相対的に大きい水晶体のために相対的瞳孔ブロックをきたしやすく,これは40代以降の加齢に伴う水晶体の肥厚とともに助長される。また,症例によってはUBMでplateau iris configurationや水晶体と毛様突起の接触,圧排などの悪性緑内障の際に認められる所見が観察されることがあり,相対的瞳孔ブロックにこれらの要因が加わることによって隅角閉塞が生じると考えられる。
緑内障の発症にあたっては,慢性の経過をとる症例もあるが,急性閉塞隅角緑内障発作を起こす場合も多く,うち約2/3の症例では両眼性に発症する5)。真性小眼球症の緑内障を治療するためには,まず細隙灯顕微鏡検査,隅角鏡検査,Aモードエコー,Bモードエコー,MRI, UBMなどで可能な限り病状を正確に把握し,その眼圧上昇機序を十分に検討したうえで,病期に応じた治療法を考えていく必要がある。
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