特集 緑内障診療ガイド—今日の戦略
Ⅰ.診断・治療の指針—私はこうしている
1.診断の指針
視神経乳頭からみた緑内障診断
澤口 昭一
1
1琉球大学医学部眼科学教室
pp.39-42
発行日 2002年9月10日
Published Date 2002/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907859
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緑内障を診断する上で視神経乳頭の詳細な観察と所見の正しい把握は,眼圧の正確な測定とともに車の両輪ともいえる重要な検査項目である。特に正常眼圧緑内障の認知とその頻度の高さから,眼底,特に視神経乳頭の検査の価値は格段に高まったといえる。
緑内障における視神経乳頭の変化としては視神経乳頭陥凹の拡大がよく知られている1)。この拡大には基本的な進行,悪化のパターンがある。すなわち全体的(びまん性)な同心円上の拡大と,上下(特に耳側)に向かって局所的に進行,拡大する2種類のパターンである。一般的にはこの2種類のパターンが同時に進行し,乳頭陥凹が拡大するパターンが多いが(図1),一方が先行し,他方が遅れて出現する場合もある。また同心円上の乳頭陥凹の拡大は生理的な乳頭陥凹の拡大との鑑別が重要であり,一方でその鑑別は困難なことも多い(図2)。それに対し局所的な拡大は,そのパターンに慣れてくると比較的容易に診断に結びつくという特徴,利点がある。特に上下耳側の乳頭辺縁のいわゆるneural rimの消失を伴っている場合は診断が容易となる。
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